ビールの作り方-初心者編(仕込編②)

ビールのお勉強

実際にビールはどのようにして作られるのか?

大まかな流れ・・・製麦→仕込→発酵→濾過→瓶詰め

今回は仕込についての基礎をまとめていきます。

前回の記事では、マッシュ(マイシェ)を65°まで上げてアミラーゼ(ジアスターゼ)を活性化させるところまで学習しました。
ここからは、そのマッシュ(マッシュ)を発酵させるための残りの作業についてまとめていきます。
なお、以下の記事は、マイナビさんが出されている日本ビール検定公式テキストから引用させていただいております。

濾過

でき上がったマッシュ(マイシェ)から固形物を除去するために、「濾過」を行います。
この時気をつけないといけないのは、
一定の時間に麦汁を濾過する
できるだけ多くのエキス分を取る
清澄で濁りのない麦汁を取る。
の三点であるようです。
濾過を遅くする原因物質は、麦芽の胚乳の細胞壁や細胞間物質に由来するグルカンなどの多糖類であり、それらを分散させず一定の時間で濾過を行うためには、
麦芽の粉砕が適切であること(細かすぎない)
前段階の糖化の際に攪拌を必要以上に強く行わないこと
品質が均一で良質な麦芽を使用すること
が必要なようです。

ここで、キリンビールが「一番搾り」という商品を出していますが、これは「濾過を終えた一番麦汁のみを使ったビール」であるという意味になります。
「第一麦汁」とは、濾過槽に移されたマッシュ(マイシェ)が、そのまま濾過された麦汁という意味になります。第一麦汁を取った後に上に残った固形分の層(もろみ分)の中には、まだエキスが残っているため、こちらに糖化の時と同様お湯を加えることによってエキス分が抽出され、これを「第二麦汁」として扱うことが可能です。ただし、こちらはアミノ酸や糖が少なくなるためPH値が高くなり、固形物の中に含まれるタンニンが溶け出しやすくなり、苦味や雑味のもとになってしまう場合があります。

煮沸

濾過槽で濾過されたビールは、煮沸槽に移され、ホップを加えて煮沸が行われます。
煮沸の目的は以下です。
①ホップとともに煮沸することによってホップ成分を抽出し、香りと苦味の付加、微生物汚染の防止、泡持ちの向上などをもたらす
②第二麦汁によって希釈された麦汁を濃縮し、適正な濃度にする
③加熱により、麦汁中の凝固性タンパク質を凝集させる
④麦汁中に残る酵素を完全に失活させる
麦汁を殺菌する
⑥ビール特有の色をつける
好ましくない香りを揮散させる

煮沸によって③のように余分なタンパク質が凝固しますが、これをブルッフと言います。
なお、昔のブルワーたちはこのブルッフの状態を確認して煮沸の適切な時間を判断していたようです。

冷却

一度は濾過によって固形物がなくなりますが、煮沸によってタンパク質が凝集し再び固形物が生まれます。また、ホップも煮沸後は不要になるので、これらの凝集物を再び取り除くために冷却します。
冷却以降は酵母が活発化する温度となるので、意図していない酵母や菌や繁殖しないために注意する必要があります。
なお、凝集物を取り除くために円筒形の沈殿槽=ワールプールタンクを用います。
円筒形のタンクの壁面に沿って麦汁を勢いよく流し込むことによってタンクの中で麦汁が旋回し、凝集物を中央に集めることができるのです。

次回は、いよいよ発酵の工程について触れていきます!

コメント

  1. […] 前回の記事で完成した麦汁の温度についてですが、加える酵母が上面発酵酵母なのか下面発酵酵母なのかによって変わってきます。上面発酵の場合は15℃~25℃で、下面発酵の場合は約10℃前後であるようです。 […]

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